2009年5月10日日曜日

万葉時代の食用植物

万葉集に出てくる植物で,当時食べられていたと思うものを上げてみました。

小豆(あづき:種子),粟(あは:種子),青菜(あをな:葉),稲(いね:種子),薺蒿(うはぎ:芽),梅(うめ:実),芋(うも:根),瓜(うり:実),堅香子(かたかご:茎),黍(きみ:種子),葛(くづ:根),栗(くり:実),椎(しひ:実),茸(たけ:胞子),橘(たちばな:実),水葱(なぎ:種子),梨(なし:実),棗(なつめ:実),蓴(ぬなは:芽),蓮(はちす:根),蒜(ひる:根・葉),麦(むぎ:種子),桃(もも:実),百合(ゆり:根)

この中では稲をはじめ,自生したものを採るのではなく,栽培されていたものも多かったのだと想像します。外国からの農業技術や栽培に適した種子の導入で,農法もかなり進んでいたのでしょう。
こういった食物が豊富に手に入るようになり,農業(第一次産業)以外の産業(ものづくり業,サービス業)の発展,そして多数の官僚や兵士を維持することができるようになったようですね。
ところが,こういった経済発展も農業等に従事する人たちからのさまざまな搾取によるところ大なのは,有名な山上憶良の貧窮問答歌,そしてつぎの和歌からも分かります。

壇越やしかもな言ひそ 里長が課役徴らば 汝も泣かむ(16-3847)
だにをちやしかもないひそ さとをさがえだちはたらば いましもなかむ
<<檀家さん,そんなことを言わないくださいな。あなたの里の長が労役を出せと言ってきたら,あなたも泣きますよ>>

前の和歌で,檀家の一人が僧侶の不精ヒゲを揶揄したのに対し,その僧侶が返した戯れ歌です。里長の強大な権力が背景に見えますね。
ただ,もしかしたら,その僧侶は里長を動かすほどの力を持っていたのかも?

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