2009年3月2日月曜日

万葉集に出てくる音読み言葉

万葉集は本来の日本語である「やまと言葉」の宝庫といえそうです。
しかし,その万葉集では僅か30個程ですが,音読み言葉(漢字を中国語に近い発音で読む言葉)と言えそうな単語が出てきます。
音読み言葉は,今に当てはめれば,カタカナ表記の外来語です。

一二の目のみにはあらず五六三 四さへありけり双六の賽(16-3827)
いちにのめ のみにはあらず ごろくさむ しさへありけり すぐろくのさえ
<<双六の賽ころには,人間の目のように一と二の目だけではありません。五,六,三,そして四までもあるのだよ>>

これは,長忌寸意吉麻呂(ながのいみきおきまろ)というざれ歌が得意な歌人のつくった短歌です。
この短歌の中に音読みと思われる言葉が次のように何と8つも出てきます。
一,二,三,四,五,六,双六,賽

この他に万葉集に出てくる音読み言葉として,餓鬼(がき),檀越(だにをち),塔(たふ),布施(ふせ),法師(はふし),波羅門(ばらもに)などの仏教用語があります。
当時,外来の新しい宗教であった仏教が少しずつ日本人の中に浸透し始めたことを表しています。
また,五位(ごゐ)という官位も出てきます。
ただ,万葉の和歌の世界では音読み言葉が使われることは,まだまだ少なかった時代といえるでしょう。

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