2013年5月5日日曜日

2013年GWスペシャル「武蔵野シリーズ(4)」

<ウォーキングフェスタ東京>
5月3日,4日,ウォーキングフェスタ東京(スタート・ゴールは東京都立小金井公園)というイベントに参加してきました。
私は以前青梅マラソン(30㎞)や各地のハーフマラソン(約21㎞)によく参加していましたが,最近は最後まで走れないことが分かっていて,ここ10年近くマラソン大会には参加していませんでした。
マラソン大会に出ていたという変なブライトもあり,私は両日とも30㎞の最長コースを選択しました。1日目はあまり困難なく完歩したのでしたが,2日目はやはり足が悲鳴を上げてしまいました。2日連続マラソン大会に出た経験はさすがにありません。足の痛さやしびれをひたすら我慢して最後まで完歩しました。
でも,新緑の武蔵野のイメージを色濃く残す玉川上水野川に沿った遊歩道,都立八国山緑地内遊歩道多摩湖(村山貯水池)周辺の自転車道,多摩湖自転車道深大寺付近の緑道などの木洩れ日の中を気持ちよく歩けました。写真は八国山緑地内と野川にそった遊歩道をそれぞれウォーク中に撮ったものです。

<多摩湖から都心を望む>
多摩湖(人造湖)のダム(標高はわずか110mあまり)から,直線で30㎞近く離れた新宿の高層ビル群がはっきり見え,武蔵野がいかに平らであるかを改めて実感できました。

参加者は全国から2日間それぞれ5千人を超える人々が参加しました。遠くから来た人たちも多く,この魅力的な武蔵野ウォークにやっとこれたといった感想を言っている人がいました。
八十八夜を過ぎた初夏の武蔵野路を歩き,木々や花々の美しさ,空気の爽やかさは都会を忘れさせ,それでいて,途中の公園が多く,適宜休憩やトイレができる歩きやすいコースだと私は思います。
何よりもさまざまな花が道路わき草むら,土手,河原,民家の庭,公園,街路樹の根もとなどに咲き誇っていました。人が植えた花,自然に生えている花など,花の種類は数えていませんが,同種の色違いを数に入れないとしても30種以上,いや50種はあったかもしれません。
<本題>
このシリーズの最初で万葉集14-3376番歌で紹介したうけら(オケラ)の花は秋になればこのコースのどこかできっと咲いているでしょうから,秋に個人的にこのコースを歩いてみたいと思います。
もう1首「うけら」を詠んだ武蔵野の短歌を紹介しておきましょう。

我が背子をあどかも言はむ武蔵野のうけらが花の時なきものを(14-3379)
わがせこをあどかもいはむ むざしののうけらがはなの ときなきものを
<<あなたのことをどう言い表せばいいのでしょう。いつも見る武蔵野のうけらの花のようにいつも恋しく思っています>>

さて,万葉集で武蔵野を見ていくシリーズも4回目となり,まだ紹介していない武蔵野を詠んだ東歌2首を紹介しましす。

武蔵野に占部肩焼きまさでにも告らぬ君が名占に出にけり(14-3374)
むざしのにうらへかたやき まさでにものらぬきみがな うらにでにけり
<<武蔵野で鹿の肩骨を焼いて占ってもらったが,どこにもまったく打ちあけていないのに,あなた様を恋い慕っていることが占いの結果に出てしまいました>>

この短歌は女性から男性に贈った1首だと私は思います。あなた様のことを密かに恋い慕っていることを婉曲な表現で伝えようとしているような気がします。
この短歌にまつわる場所が川越市鹿見塚という古墳跡に伝えられています。この短歌がこの場所で本当に詠まれたかどうか真偽のほどは別にして,万葉集の東歌としてこの短歌があることで,当時武蔵野に住んでいた人たちには結構都会的な暮らしをしていたがいた人たちがいたのではないかと私は思うのですが,考えすぎでしょうか。
次の短歌はやはり女性が夫が居なくなった一人の寂しさを詠んだと思われる1首です。

武蔵野のをぐきが雉立ち別れ去にし宵より背ろに逢はなふよ(14-3375)
むざしののをぐきがきぎし たちわかれいにしよひより せろにあはなふよ
<<武蔵野の穴に住む雉があわただしく飛び立っていくように別れていったあの宵より,ずっとあんたに逢えないでいる>>

当時,武蔵野は舟で行き来できる川が縦横に流れており,平坦なので道も比較的整備されていたと私は考えます。どこかで人(特に男性)が必要となったとき,多くの人が単身赴任のような形で働きに出て行ったのかもしれません。大量に人が必要となる例として,秩父で優良な銅鉱が発見,東山道武蔵道の整備,河川の治水工事,比較的小さな湖沼埋め立てによる土地開発,豪族の邸宅や墓の造営などが考えられます。
さて,次回は本スペシャルの最終回です。
2013年GWスペシャル「武蔵野シリーズ(5:まとめ)」に続く。

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