2016年1月3日日曜日

400回記念スペシャル(3:まとめ)…2016年も「爆買い」期待?

正月休みもあっという間に終わり,明日からは私の専門職であるソフトウェア保守開発の職場に向かいます。正月は担当システムで正常でないことが起これば携帯電話に連絡が入り,自宅から関係者に連絡をする手配を用意していました。今年の3ヶ日は,システムすべて正常に動作したようで,気持ちよく出勤ができそうです。
400回記念スペシャルも今回が最後で,次からはまた「今もあるリーズ」に戻ります。
今回は,勝手ながらまず今年の予測をしてみたいと思います。
(1)企業の業績
今年の景気は良さそうだという予測がいくつかのメディアから出ています。
私もそう思いますが,来年4月の消費税率を8%から10%へアップする前の駆け込み需要を割り引いて考えないといけないのかなと思います。
来年は4月以降景気が凹む恐れを考える必要がありそうですね。
(2)街角景気
非正規社員が減り,正規社員が増えるようなことはそれほど期待できないと思います。理由は自動化ロボット化が進み,ヒトが今まで担当していた定型業務をロボットや機械が代替できる分野がひろがる,またITC(情報通信技術)によりネットショップがさらに拡大し,店舗従業員や営業担当者が不要となるビジネスが広がると予測できるからです。
一般論として,景気が良くなると企業は儲かったお金を従業員を増やすことよりも,従業員を増やさずに業績を伸ばすこと(機械設備)に投資する傾向があるためです。また,ITCが急速に進展する今の時代,全企業トータルの業績が伸びても,大きく伸ばす会社と競争に負けて業績を落とす会社の格差が大きくなることも考えられます。ある企業が一人勝ちのような産業の場合,その他の企業では従業員の削減を行う企業が出る場合も考えられます。
(3)明るい予測
暗いことばかりでなく,明るい話をすると外国人訪日旅行客(インバウンド)が今まで以上に増えそうだということです。まだ日本観光局(http://www.jnto.go.jp/jpn/)から発表はありませんが,昨年(2015年)は恐らく2,000万人に近い外国の人が日本を訪問したと思われます。2014年の同実績が1,200万人余りですから,その伸び方は半端ではありませんでした。
今年もさらに伸びると私は予測します。なぜなら,昨年訪日した外国の人たちがTwitterやFacebookなどのSNS,旅行情報サイトなどの口コミに概ねポジティブな評価を次々とアップしているからです。それを見た日本を訪問したことのない人は「次は日本に行こう」,既に日本を訪問した人は「日本の別の場所に行ってみよう」という気持ちになると考えられます。
それと2,000万人というのはすごく大きな数字のようですが,香港やマレーシアを訪れるその国以外の人数より,まだまだ少ない数なのです。日本は香港の350倍近い面積があります。そして,日本には香港に様な気候の場所もあれば,冬には香港ではまず見ることができない天然の雪に必ず接することができる場所があります。日本が今までいかに外国人観光客に対して閉鎖的だったか分かります。
ただ,これからはインバウンド数を増やしていくだけでなく,リピート訪問率を如何に増やすかがポイントとなるでしょう。「爆買い」を期待することは二の次にして,日本にしかないものと,日本に来て癒されると感じるものを増やしていく努力が必要だと私は思います。
そのためには,外国語の研究も必要でしょう。訪れた人たちの母国語で,上から目線ではなく,聞き心地の良い言葉でまず迎えることが必要だと私は思います。それがないと日本の本当の良さを相手に理解されず,単なる押し付けになってしまいます。私も海外に何度か旅行に行っていますが,現地観光ガイドが日本語は上手くても,「日本よりすごいだろ」みたいな上から目線のガイドをする人に何人も会い,楽しめなかったことがありました。
日本の良さを説得するのではなく,感じとってもらうこと,発見してもらうこと,そして訪日客の質問に丁寧かつ正確に答えることができれば確実に日本及び日本人を好きになってもらえると私は思います。
私は万葉集に長く接することで,日本人の感性のルーツが何であるかを感じることが少しずつできてきいるような気がします。外国から来た方に日本をイメージしてもらうために紹介する万葉集の短歌としては,私は次の3首のいずれかなど,どうかなと思います
まず,日本の山を見て季節感をイメージしてもらうための1首です(現代語は意訳)。

春は萌え夏は緑に紅のまだらに見ゆる秋の山かも(10-2177)
はるはもえなつはみどりに くれなゐのまだらにみゆる あきのやまかも
<<日本には春は花がきれいに咲き,夏はみずみずしい緑一色になり,秋には紅葉のグラデーションが見事な山がいくつもありますよ>>

リアス式の海辺に小さな漁港が近くにある旅館や民宿(私は外国の人に是非泊まってほしいと思っています)。そこに泊まる人たちに勧めたいのが,次の遣新羅使が詠んだとされる1首です。

山の端に月傾けば漁りする海人の燈火沖になづさふ(15-3623)
やまのはにつきかたぶけば いざりするあまのともしび おきになづさふ
<<山の向こうに月が隠れると沖に漂う漁師の舟の明かりがよりはっきり見えますね>>

最後は,日本庭園を鑑賞する人たちに勧めたいのが,大伴家持が詠んだとされる1首です。

秋風の吹き扱き敷ける花の庭清き月夜に見れど飽かぬかも(20-4453)
あきかぜのふきこきしける はなのにはきよきつくよに みれどあかぬかも
<<秋風が吹いて散った花びらが敷き詰められた庭は,清らかな月の光を浴びて見飽きることがないのです>>

日本庭園を訪れる時が秋(新暦で夏も)でなくてもよいのです。昼間でも構いません。花は無くても,月が出ていない夜でもよいのです。今見ている日本庭園が夜,そして散った花が敷き詰められて,月が照らしている情景がどんなに美しいだろうとイメージしてもらうことが必要だと思います。
無いものを有るとしたときの変化,それを考えて(シミュレーションして)作られ日本庭園の奥深さを感じ取ってもらえれば,「また来たい」という気持ちになってもらえるかもしれません。
日本の四季は実は四つではありません。初春,早春,春真っ盛り,晩春,初夏,盛夏,真夏,挽夏,初秋,秋寒,晩秋,初冬,真冬,晩冬といった四季をさらに細かく分類するような言葉で季節の変化を日本人は感じ取っています。このほかにも立春,立夏,立秋,立冬などの24節季,さらに細かく分類した72候というの言葉があります。
24節季や72候は中国から伝来した分類方法が基になっているようですが,その後日本で作られた俳諧歳時記に載せられている季語は何と3,000位をあるとのことです。季節に関する言葉が昔からこれほど多い国は他国になく,それを日常としている日本人の細かい感性も比類がないと私は想像しますがいかがでしょうか。
今もあるシリーズ「鵜(う)」に続く。

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