2014年12月31日水曜日

動きの詞(ことば)シリーズ…照る(4:まとめ) ♪秋の夕日に照る山もみじ~

今日後わずかで2014年も終わります。今月5本の投稿を目標としていましたので,急いで投稿をしなければなりません。そんなことで,今回も解説は最小限にして,「照る」を詠んだ万葉集の歌の中で,前3回で紹介できなかった「照る」の対象を詠んだものを見ていきます。
最初は長屋王(ながやのおほきみ)が「もみじが照る」を詠んだ短歌です。秋のもみじの歌です。

味酒三輪のはふりの山照らす秋の黄葉の散らまく惜しも(8-1517)
うまさけみわのはふりの やまてらすあきのもみちの ちらまくをしも
<<三輪神社のご神体である山を照らすほど色づいた秋のもみじが散ってしまうのが惜しい>>

次は「天の川」が照ることを詠んだ詠み人知らず(但し,柿本人麻呂歌集から)の短歌です。

天の川水さへに照る舟泊てて舟なる人は妹と見えきや(10-1996)
あまのがはみづさへにてる ふねはててふねなるひとは いもとみえきや
<<天の川はその水も照り輝いている。舟は泊り場に着いた。舟人(牽牛)は恋人(織姫)と逢っただろうか>>

次は「玉が照る」を詠んだ詠み人知らずの短歌です。

大海の水底照らし沈く玉斎ひて採らむ風な吹きそね(7-1319)
おほうみのみなそこてらし しづくたまいはひてとらむ かぜなふきそね
<<大海の底を照らしている玉を取るつもりだ。海をつかさどる神に祈りるから風は吹くなよ>>

最後は「山橘の実が照る」を詠んだ大伴家持の短歌です。

この雪の消残る時にいざ行かな山橘の実の照るも見む(19-4226)
このゆきのけのこるときに いざゆかなやまたちばなの みのてるもみむ
<<この雪が消えてしまわないうちに、さあ行きましょう。山橘の実が熟れて美しく照り生えているのを見に>>

これで,4回に渡って投稿してきました「照る」を締めくくります。
この1年を振り返ってみますと,結構さまざまな経験を積みました。新しい出会いがあり,寂しい別れもありました。
読者の皆さん,途中長い中断があれましたが,1年間本ブログのご愛読ありがとうございました。
良いお年をお迎えください。
2015新年スペシャル(1)に続く。

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