2013年12月10日火曜日

投稿300回記念スペシャル(2)‥四国特集(伊予)

<同期と四国伊代路遊覧>
11月30日,大学の万葉研究会の同期の一部メンバーと四国に集まりました。
それぞれ,住んでいる場所(すべて四国以外に在住)や事前の行動予定が異なっていたため,次回投稿する阿波(徳島県)にある阿波池田駅で朝10時過ぎに集合し,私が高松空港で借りたレンタカーに同乗し,四国路を遊覧することになりました。
一行は,その日の宿泊地へまっすぐ行かず,愛媛県西条市の石鎚山駅付近から遠くの石鎚山の冠雪を眺め,それから瀬戸内海沿いの今治市に寄り,来島海峡に掛かっている来島海峡大橋(しまなみ海道)が一望できるレストランで少し遅い昼食を取りました。

写真は展望台からのものです。
その後は国道196号線の旧道を走りました。以前は私は松山から今治まで今回とは逆方向にレンタカーで走った経験があります。
同乗者たちは早く着けるバイパスを行くのだろうと期待していますが,私は以前一度走ってこの旧道が好きになったので,期待に添わず構わず旧道を選択しました。なぜ好きになったかというと,この道はずっとお店や家が途切れなく続き,時々家が途切れる場所があると瀬戸内海が見え隠れするからです。それでいて,渋滞はあまりありません。バイパスに地元の自動車が走るせいもあり,さらにとにかく信号が少なく走りやすいのです。
途中の「道の駅」駐車場からは,瀬戸内海斎灘)の先の島々が,何と蜃気楼だと思いますが浮いて見えました(次の写真)。

同乗者たちも,しばし見とれていました。
夕方近くに松山市内に入り,車を繁華街の大街道付近にある宿泊予定のホテルに置き,何人かで道後温泉に繰り出しました。
道後温泉には人が多く(土曜の夜だから当然),とてもゆっくり入れそうにないので,夜の入浴はあきらめ,道後温泉前のアーケードでお土産のウィンドウショッピングと,居酒屋に入り,地魚を中心とした刺身,焼き物,煮魚を食べました。
翌早朝,参加者で道後温泉本館の朝ぶろに入りました。日曜の朝は,さすがに人は少なく,浴室にはまばらな人しかいませんでした。

アルカリ性の高い肌によさそうな温泉のお風呂から上がると,借りた浴衣を着て,休憩室で,入浴とセットになっているお茶とお菓子を食べながら,ゆったりと談笑しました。
ホテルに戻って朝食を食べ,観光定番の松山城に上りました。本丸近くまでは上下ともロープウェイではなくリフトに乗りました。クリスマスが近いとあって,リフトにはサンタクロース(人形ですが)も乗っていました。


その他,松山城で撮った写真をいくつか紹介します。

また,ロープウェイとリフト乗り場には,司馬遼太郎作の小説「坂の上の雲」をイメージした大きな壁画が描かれていました。

松山市最後の訪問地は愛媛万葉苑近くにある次の有名な万葉集に出くる短歌(額田王作とされている)の歌碑に寄りました。

熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな(1-8)

実は,万葉集に出てくる伊予の国の和歌4首はすべて熟田津を題材にしたものです。
また,他の3首はすべて上記の短歌を意識したものと言えそうなものです。なお,2012年1月4日に投稿した『私の接した歌枕(14:松山)』では紹介していない山部赤人が詠んだとされる長歌1首を紹介します。

すめろきの神の命の 敷きませる国のことごと 湯はしもさはにあれども 島山の宣しき国と こごしかも伊予の高嶺の 射狭庭の岡に立たして 歌思ひ辞思はしし み湯の上の木群を見れば 臣の木も生ひ継ぎにけり 鳴く鳥の声も変らず 遠き代に神さびゆかむ 幸しところ(3-322)
すめろきのかみのみことの しきませるくにのことごと ゆはしもさはにあれども しまやまのよろしきくにと こごしかもいよのたかねの いざにはのをかにたたして うたおもひことおもはしし みゆのうへのこむらをみれば おみのきもおひつぎにけり なくとりのこゑもかはらず とほきよにかむさびゆかむ いでましところ
<<神である天皇が治めている国中に温泉はたくさんあるけれども,特に島や山の景色が優れた国である伊予の険しい高嶺にある射狭庭の岡に天皇は立たれ,歌を考え言葉を選ばれた。この温泉の木々を見ると,臣の木も生い茂り,鳴く鳥の声も変わらず,遠い未来まで、神々しくなってゆくだろう,この行幸)の跡は>>

この後の反歌で赤人は,この温泉がある伊予の美しい風景や豊かな自然,そして轟轟しい峰々はずっと変わらないけれど,舒明天皇斉明天皇のよる行幸が盛んだった当時のように大宮人で賑わった姿は今はないと詠んでいます。まさに諸行無常(仏教用語:万物は常に変化して少しもとどまらないとの意)だということを赤人は言わんとしているのだと私は感じます。もちろん,天皇を神とあがめて,咎(とが)めをうけることを回避しつつですが。
今回伊予路を大学時代の友と回って,近代文明により大きく変化している部分と千数百年変わらない部分の共存を,赤人の和歌を思い,感じた次第です。
投稿300回記念スペシャル(3)‥四国特集(阿波)に続く。

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