2017年1月1日日曜日

序詞再発見シリーズ(1) ‥ 序詞は添え物か?

あけましておめでとうございます。たびとです。
8か月間もこのブログへの新しい投稿をしていませんでした。申し訳ありません。
体調が悪かったわけではなく,本業の多忙さ,本業のITに関係する学会での発表準備,本業をテーマとしたソフトウェア保守に関するブログ(アメブロ上)の開始などが重なり,手が回らなかったのです。
その間,国内,国外からこのブログに過去投稿した記事に対して,継続した閲覧,時として大量の閲覧を頂きました。あまり長くお休みするのも申し訳なく,再開を決意しました。
ただ,上記の忙しさは今年もあまり変わりそうにないので,再開しても毎週記事をアップするのは難しいかもしれません。
できるだけ,1回の記事の量を少なくして軽い読み物にしたいのですが,文章が下手なものですから,やはり冗長なものになってしまうかもしれません。
さて,昨年途中で終わった万葉集の「枕詞シリーズ」は中断し,今年から気分を変えて新しいシリーズを始めることにします。
そのシリーズは「序詞再発見シリーズ」というものです。

天の川 「な~んや,『枕詞』が『序詞』に変わっただけやんか。」

そうそう,このシリーズでは,あの関西弁でうるさくチャチャを入れる「天の川君」も再登場してまいります。

天の川 「天の川ファンのみんななあ,おまっとうさん。「たびと」はんの記事にこれからめっちゃ突っ込みを入れていきまっせ。」

お手柔らかに願いたいね。天の川君。
さて,枕詞も序詞も文学的表現からいうと付け足しのようなもので,それ自体訳さない解説本も多いかもしれません。
特に,序詞に至っては,枕詞に比べ文字数が多く,序詞を除いた部分が俳句の文字数にも満たない短歌もあります。
序詞はさらに説明調であり,文学的表現から見て稚拙な和歌な印象を拭うことができなさそうです。
短歌のように文字数が限られているため,情景や想いを少ない文字に詰め込んで表現しようとする歌人にとっては,なんともったいない,初級の作歌方法だと思われてしまうかもしれません。結局,序詞を含む和歌は,即興で読んだり,和歌を作る能力が未熟な人が読んだもので,文学的評価をするに足らないと万葉集の解説本にもあまり出てこないようです。しかし,私はそんな序詞に注目します。
序詞が使われた和歌が比較的多く出てくる万葉集の巻は,巻14,巻11,巻12です。
巻14は東歌の巻で,その巻に出てくる短歌の30%近くが序詞を含むものです。
巻11,12は両方とも恋の気持ちを詠んだ巻ですが,出で来る短歌の20%以上が序詞を含むものです。
他の巻には序詞を含む和歌の比率が極端に少なく,巻5,巻9には1首も序詞を含む和歌が出てこないようです。
このように,序詞が含む和歌の出現する巻が偏っているように私には見えます。
そこに,編者の意図を私は感じます。
それを探るのが,このシリーズの目的です。
さて,最初に巻11の1首を紹介します。

宇治川の水泡さかまき行く水の事かへらずぞ思ひ染めてし(11-2430)
うぢかはのみなあわさかまき ゆくみづのことかへらずぞおもひそめてし
<<宇治川の水の泡が逆巻くように激しく流れるように(以上序詞),もとに静かな思い帰ることができなくなってしまった。貴女への激しい恋心で>>

私は何度もこのブログで,万葉時代には京都の宇治川の流れが激しいことが一般に知られていたということを述べてきましたが,これもそれを裏付ける1首です。
今の宇治川も結構な水量で流れが速いのですが,上流の南郷洗堰(なんごうあらいぜき)や天ケ瀬(あまがせ)ダムで,水量の平準化と周辺への利水などを行っていてのことです。
そんなダムがなかった万葉時代の宇治川は,たとえば琵琶湖でまとまった雨が降ると宇治川の流れの激しさは恐ろしいほどのものがあったと考えられそうです。
宇治平等院があるところより下流の平らな万葉集にも出てくる木幡(こはた,こばた,こわた)地区の宇治川沿いなどは,洪水の常襲地帯だったようです。
私が小学生のころ,一度ですが宇治川にかかる観月橋付近で大きな洪水が発生したというラジオのニュースで聞き,近くの椥辻(なぎつじ)という京阪バスのバス停から終点の六地蔵(ろくじぞう)までバスで行き,後片付けの野次馬をした記憶がよみがえります。

天の川 「たびとはんは,ちっこい頃から,名神高速の起工式や,こんな洪水の野次馬が好きやったんやね。興味の塊みたいな坊主やったんか?」

天の川君の言う通りかもね。何か珍しいものに興味をもったし,結構今も覚えていることも多いね。
保育園にいたころだと思うけど,天ケ瀬ダムができる前まで渓谷を走っていた「おとぎ電車」に両親と一緒に乗った楽しい記憶が乗っているんだよ。
何年か後に「また乗れへんか?」と両親に言ったら「ダムができて線路は水の下になるよって,もうて乗れへんね」と言われ,大変残念だったことも記憶しているね。

天の川 「その割には,たびとはんは最近のことをよう忘れるようになったんと違うか?」
‥。
(序詞再発見シリーズ(2)に続く)

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