2012年8月11日土曜日

夏休みスペシャル「最近のできごと」大津⇒宇治:奈良街道を歩く


みなさん。立秋が過ぎましたが,今年の残暑は衰えを知りません。
私は今日から9日間夏休みです。
今年の前半は会社での業務(ソフトウェアの保守開発)がキツく,また様々な友人と関係するイベントの幹事や実行委員が重なり,忙しい状況が続いていました。しかし,7月に入って,イベントも一通り終わり,今月からは会社での立場が変わることもあり,気分的にもこれまでにないゆったりとした夏休みを過ごせそうです。
<東京から大津まで>
今回は,そんな7月下旬の土日に滋賀県のJR大津駅から京都府のJR宇治駅まで奈良街道を歩きましたので,その報告をします。
土曜日の午後2時32分東京駅発の快速アクティーに乗り,一路熱海まで行きます。きっぷは「青春18きっぷ」。駅でSuicaにグリーンチャージ(750円)をしてグリーン車に乗りました。熱海からは,JR東海の普通電車を乗り継ぎ,夕方浜松駅を出て夕食を食べました(残念ながら鰻ではなく,カレーでした)。
浜松からは大垣行きの新快速に乗り,大垣から米原,米原から大津まで普通列車を乗り継ぎ,23:20に大津駅に到着しました。
大津駅南口改札を出たところで,自宅から持ってきたワッフルや凍ったペットボトルと一緒に保冷袋に入れて持ってきた冷たい枝豆を食べ,空腹を満たし,いよいよ宇治までの歩行開始です。
<深夜奈良街道を目指す>
大津駅南口から坂や階段を上がったところを国道1号線が通っています。国道1号線を一路京都に向かって歩きます。最初に目指すのは,京阪電鉄京津線大谷駅近くの逢坂の関跡とされる場所です。
写真は逢坂の関跡を示す石碑と説明書きの看板です。


逢坂の関ができたのは万葉時代より後と書かれいますが,このブログの「歌枕シリーズ」でも紹介しましたが,この場所付近を多くの万葉人が通ったこと確かです。


写真のように大谷駅(無人駅)はまだ最終電車前のためか,照明がされていました。
そこから,再び国道1号線を京都方面に下り,次の追分駅を過ぎると京都市山科区に入ります。
名神高速道路京都東IC手前から国道1号線を離れ,同IC下を抜けて,いよいよ奈良街道に入ります。
ほどなく,2番目の目的地がやってきました。同街道から横に少し入ったところに音羽珍事町なる町名があります。以前,このブログで山科に御陵血洗町があること紹介しましたが,こちらも珍しい町名としては負けていません。この住所が書かれているものを探そうというのが2番目の目的です。
ところが,電柱にも,通りの角の壁にも,民家の表札にも住所を書いたものが見つかりません。
ようやく見つけたのが,写真の京都市の広報板の下に書かれた住所です。


何か音羽珍事町に住んでいることを隠しているようにも見えたのですが,本当の理由は分かりません。
さて,写真を撮ったので,後はひたすら奈良街道を宇治に向かって歩くだけです。
音羽の次は大塚,そして仁徳天皇の時代に建てられたと伝わる岩屋神社のある大宅(おおやけ),小野小町と関係があるとされる小野伏見区に入って豊臣秀吉が花見をした三宝院がある醍醐(だいご),次のように万葉集で詠われている「石田の杜(いわたのもり)」がある石田(いしだ)まできました。

山科の石田の杜に幣置かばけだし我妹に直に逢はむかも(9-1731)
やましなの いはたのもりにぬさおかば けだしわぎもにただにあはむかも
<<山科の石田の社に幣を捧げて祈ったらすぐ妻に逢えないだろうか>>

石田を過ぎると,JR奈良線と地下鉄東西線の乗り換えができる六地蔵駅前に到着。時間は午前3時を回っていました。地下鉄が結ばれたことで,私が山科に住んでいた頃来た六地蔵とはまったく異なる近代的な雰囲気になっています。
奈良街道は六地蔵で木幡池を避けるため左折します。昔は宇治川の氾濫を抑えるためか,このあたり周辺には無数の池があったようで,木幡池は現存する一つだそうです。
六地蔵で左折した奈良街道はすぐに万葉集の次の短歌に出てくる木幡に入ります。

山科の木幡の山を馬はあれど徒歩より我が来し汝を思ひかねて(11-2425)
やましなのこはたのやまを うまはあれどかちよりわがこし なをおもひかねて
<<山科の木幡の山を馬でも行けるけれど,僕は歩いて来たんだよ,お前を思いつつ>>

木幡からは,黄檗(おうばく),そして宇治川を越えて坂道を上ってJR宇治駅に到着したのが朝4時20分でした。宇治駅前のロータリーには人の姿はほとんどなく,100羽位のムクドリの集団が木にとまり,騒がしく鳴いていました。
夏真っ盛りですが,さすがに朝4時頃は涼しい風が吹き抜け,疲れた身体を癒してくれました。
宇治はお茶で有名ですので,駅前の郵便ポストもお茶壺のイメージです。


ちはや人宇治川波を清みかも旅行く人の立ちかてにする(7-1139)
ちはやひとうぢがはなみを きよみかもたびゆくひとの たちかてにする
<<宇治川の川波が綺麗なので旅行く人が次の目的地に向かうのをためらっている>>

私も同じ気持ちでしたが,次の予定があり,JR奈良線の始発列車を待って奈良,飛鳥方面に向かいました。その内容は次回にご紹介します。
夏休みスペシャル「最近のできごと」宇治⇒奈良⇒明日香をめぐる に続く。

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