今,大阪難波の府立体育会館で大相撲三月場所が行われています。
七日目現在,横綱の朝青龍と白鵬が全勝を続けています。
さて,万葉集巻5(864,886~891)の題詞には天平2年(730年)と翌年に相撲が京で行われ,各地に力士がいたことを思わせる記録が書かれています。
ただ,5-864,888~891の和歌も含め,万葉集の和歌の中には相撲を題材にした和歌はないようです。
ところで,今大相撲中継を見ているとよく出てくる言葉が万葉集にはすでに出ています。
もちろん,万葉の時代に相撲用語として使われていたわけではなく,相撲用語は後から考えられたのでしょう。
例えば,決まり手(括弧内)では,
寄る(寄り切りなど),押す(押し出しなど),突く(突き出しなど),引く(引き落としなど),投ぐ(上手投げなど),繰る(蹴手繰り),払ふ(裾払い),手(大逆手,小手投げなど),足(足取りなど),首(首投げなど),腰(腰投げなど),肩(肩透かし),背な(一本背負い),腕;かひな(腕捻り),襷:たすき(襷反りなど)
などが出てきます。
また,相撲部屋の名前にも(偶然かどうか分かりませんが)万葉集で出てくる言葉を使ったものがいくつか見受けられます。
時つ風(時津風部屋),春日野(春日野部屋),春日山(春日山部屋),松が根(松ヶ根部屋),鳴門(鳴戸部屋),伊勢の海(伊勢ノ海部屋),籬(間垣部屋),田子の浦(田子ノ浦部屋)などてす。
面白いのは片男波部屋です。広辞苑によると「片男波」という言葉は,次の山部赤人の有名な歌の「潟をなみ」をこじつけて,高い波(男波)という意味にした言葉を後世が作ったようです。
若の浦に潮満ち来れば 潟をなみ葦辺をさして 鶴鳴き渡る (6-919)
<わかのうらにしほみちくれば かたをなみあしへをさして たづなきわたる>
<<若の浦に潮が満ちてくると潟が無くなってしまい,その上を葦辺に向かって鶴が鳴きつつ飛び渡って行く>>
0 件のコメント:
コメントを投稿