2012年8月16日木曜日

夏休みスペシャル「最近のできごと」オリンピック競技を見て

<ロンドン五輪や過去の五輪の感想>
17日間にわたるロンドンオリンピックも終り,睡眠時間が不規則で昼間体調管理に苦労していたのが,やっと以前の状態に戻りつつあります。
日本が過去のオリンピックで一番多くのメダルを獲得したことはまずは喜びたいですね。
私が最初にオリンピックのニュースを聞いたのはローマオリンピック(1960年)です。マラソンでエチオピアのアベベ選手が裸足で走り,ぶっちぎりで優勝したというニュースです。
そして,その4年後の東京オリンピックでは,国道を走る聖火ランナーを見に小学校から先生の引率で出かけたことを覚えています。
東京オリンピックでは「より速く,より高く,より遠く」ということをオリンピックのキャッチフレーズにしていた記憶がありますが,以前このブログでシリーズ化してアップしました「動きの詞シリーズ」のように動詞にあてはめると,いろいろな動きが各種競技で現れます。

走る(陸上トラック,マラソン,トライアスロン,球技),歩く(競歩),跳ぶ(陸上フィールド競技,トランポリン,体操,飛び込み,球技),投げる(陸上フィールド競技,球技,新体操,レスリング,柔道等),蹴る(サッカー,テコンドー),引く(アーチェリー),漕ぐ(ボート,カヌー),扱ぐ(自転車,トライアスロン),泳ぐ(水泳,水球,トライアスロン),突く(フェンシング),打つ(ボクシング,ホッケー,テニス,卓球,パレーボール,バドミントン),拾う(球技),捻る(体操,水泳飛び込み,トランポリン,新体操,シンクロナイズドスイミング),潜る(競泳,シンクロナイズドスイミング),切る(卓球,セーリング),かわす(格闘技,球技),持ち上げる(ウェイトリフティング,新体操団体,シンクロナイズドスイミング),押さえる(柔道,レスリング),渡す(陸上リレー,新体操団体),刺す(フェンシング,棒高跳び),越える(陸上障害,体操),着く(体操,トランポリン),回る(体操,トランポリン,シンクロナイズドスイミング,新体操),周る(陸上トラック,競輪,マラソン,競歩,トライアスロン),乗る(馬術,ボート,カヌー,セーリング,自転車),撃つ(射撃),守る(球技),攻める(球技)

さて,この中で当ブログの「動きの詞シリーズ」に出てこなかった動詞が詠み込まれていて,面白そうな万葉集の和歌をいくつか取りあげます。
最初は,「押す」からです。

あしひきの名負ふ山菅押し伏せて君し結ばば逢はずあらめやも(11-2477)
あしひきの なおふやますげおしふせて きみしむすばばあはずあらめやも
<<あしひきのという枕詞がつく山菅を押し伏せても君と結ばれれば,逢うことも可能でしょうか>>

「山菅を押し伏す」とは「大変な苦労をして」という意味だと私は考えます。女性からこんな歌を返されるとは,当時の妻問い(婚活)も大変だったようですね。
次は「打つ」です。

いにしへに梁打つ人のなかりせばここにもあらまし柘の枝はも(3-387)
いにしへにやなうつひとの なかりせばここにもあらまし つみのえだはも
<<昔、梁を打ちかける味稲という人がいなかったら、今もここに居るかもしれない柘の枝の仙女は>>

この短歌は「仙女枝歌(やまびめつみのうた)三首」(5-385~387)の最後の歌で,若宮年魚麻呂(わかみやのあゆまろ)が詠んだとされるものです。
この三首はある伝説を題材に詠まれたと題詞,左注に記されています。
その伝説とは,吉野の人である味稲(うましね)が(野生の桑の一種らしい)の枝を川魚を捕る梁(川底に枝を打ちつけ魚が引っ掛かるようにした罠)を打ち掛けたところ,その枝が仙女(やまびめ)になり,味稲と結ばれたという話です。
仙女は大変魅力的だったようで,若宮年魚麻呂は「味稲が余計なことをしなかったら今ここで仙女に会えたかもしれないのによ~」と物語の落ちを詠っているようです。
若宮年魚麻呂は,伝説をモチーフに漫談調の歌を歌い庶民を楽しませていたプロ歌手だったのかも知れません。
最後は「潜る」です。

海人娘子潜き採るといふ忘れ貝世にも忘れじ妹が姿(12-3084)
あまをとめかづきとるといふ わすれがひよにもわすれじ いもがすがたは
<<海人娘子潜って採るという忘れ貝だけど,それを得てもあの娘のことをずっと忘れ続けることはできない>>

万葉時代も海人娘子は美しい人魚をイメージし,珍しい魚介類や真珠を採ってくれる魅力的な存在だったのでしょう。
シンクロナイズドスイミング(アーティスティックスイミング)の選手ような海人娘子だったのも知れませんね。
オリンピックは様々なスポーツの(より美しくも含めた)魅力を改めて感じさせてくれました。
夏休みスペシャル「最近のできごと」思い切って買いました に続く。

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