この前の土曜日と日曜日,富山県高岡市に大学時代活動していた万葉集の研究クラブのOB・OGが集まり,旧交を温めました。
高岡の古城公園(日本の桜百選)周辺は桜が満開でした。初日は各地から集まった参加者は午後高岡駅近くの料亭で再会の宴を楽しく行った後,古城公園を散策しました。
参加者(関東,関西,中京から参加)は,皆今年の桜の開花が遅れ,ちょうど見ごろになった幸運を喜び合ったのです。再会の宴では,私が顧問の先生の研究室にあった昔の写真などをパソコンに取り込んで,スライド投影しました。
懐かしい写真を見て,今回参加しなかったメンバーも含め,「○○に旅行に行ったときだ!」「このときの大学祭の準備はたいへんだったなあ~」「そういえばこの人どうしたのかなあ?」とっいた話が盛り上がり,時間の経過も忘れるほどでした。
その後も2次会,ホテルの部屋での語らいと夜の更けるのも忘れるくらいでした。
翌日は万葉歴史館を訪れ,大伴家持の越中での足跡を改めてたどりました。ボランティアの説明員の方が,親切に私たちに説明くださいました。歴史館の裏の高台から見た白雪をかぶった立山連邦もハッキリと見えました。
歴史館では堅香子(かたかご)の花を植えていました。歴史館に行く途中では,家の前にはコブシやモクレン,チューリップも咲いていました。その後,二上山山頂まで車で満開の桜の中をドライブして,山頂を目指しました。
家持が天平勝宝2(750)年春に越中で詠んだ峰の上の桜を詠んだ短歌があります。
今日のためと思ひて標しあしひきの峰の上の桜かく咲きにけり(19-4151)
<けふのためとおもひてしめし あしひきのをのへのさくら かくさきにけり>
<<今日のこの日のためにと思い,しるしをつけておいた峰の桜がこんなに綺麗に咲きました>>
山頂から家持が歩いたであろう国府の場所,また見たであろう海山川の地形をこの目で確認しました。また,山頂では鶯(うぐいす)が鳴いていて,家持が天平19(747)年のちょうど今頃越中で詠んだ次の短歌を思い浮かべました。
玉櫛笥二上山に鳴く鳥の声の恋しき時は来にけり(17-3987)
<たまくしげふたがみやまに なくとりのこゑのこひしき ときはきにけり>
<<二上山に鳴く鳥の声が美しい季節がやってきたよ>>
なお,この短歌の鳥は鶯ではなく霍公鳥(ほととぎす)のようです。いずれにしても,家持が二上山で鳥がにぎやかに鳴く春の到来を喜んだのは間違いないでしょう。
こうやって,あっという間の2日間が終り,参加者はそれぞれ帰路につきました。
参加者が帰宅した後,今回の集いが大変楽しく,また越中という土地の自然の豊かさ,恵まれた環境を感じられた思い出に残るものだったとのメールを多数頂いたのです。
<事前の回遊>
ちなみに,土曜日の宴の前,私は早めに富山に到着できたので,ひとりで砺波平野の散居村展望台に車で行き,登りました。
写真はその時展望台から撮ったものです。いくつかの田んぼでは水がはられ始めていました。
富山がまさに「富んだ山」から流れてくる川の雪解け水に潤わされ,花で満たされた春爛漫と暖かい心で満たされた旧友たちと過ごした素晴らしい2日間でした。
山は雪川は速水(はやみ)と里の花 海山幸に交わす杯(さかずき)
今回も企画から準備,開催まで1年以上掛けた甲斐があったようです。
このブログ,次はGWスペシャル「私の接した歌枕」シリーズの続きをお送りします。お楽しみに。
私の接した歌枕(15)「湯河原」に続く。
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