<大阪の困難な仕事も峠を越えた>
数日前私は仕事でお客様の本社がある大阪に出張しました。このお客様への出張は先月から数えて5回目でした。
それまでの4回は出張目的が十分果たせず,準備の苦労も回数を重ねるたびに増し,すべて日帰り出張で大変疲れ,往復の新幹線はいつも寝ているだけでした。
今回の出張は比較的良好な結果が得られ,さらに当日は大阪で1泊することが許され,ホテルで十分睡眠をとることができました。翌日は東京に帰るだけですが,いつものような疲れも無く,よい天気に恵まれ,久しぶりに爽やかな気分で帰路の新幹線に乗れました。予約で確保した座席は1E(ある号車の最後尾座席で,リクライニングを倒す時後ろを気にする必要がなく,そして山側(北側)で太陽の光が入らず,ブラインドを下げる必要のない席)です。
<帰京の「のぞみ」出発>
朝8時頃明るい朝日が射す中,新大阪が始発の「のぞみ」から,ちょうど満開の桜が沿線で良い天気に映えて綺麗に見られそうなので,車窓の景色を眺めながら過ごすことにしました(いい年をして)。好都合なことに隣の座席(1D)は誰もいません。私が窓の外ばかり見ていても,変に思う人もいないのです。
「のぞみ」は早速淀川の河川敷の桜を見せてくれました。山崎のサントリーウィスキー工場の前を通過ししたときは,その周辺の桜が山麓を染めていました。京都駅周辺や京都駅を出た直後の鴨川の桜も綺麗に見えました。直後トンネルを通過して,私の育った山科に入ると,北の山沿いに掘られた京都疎水の岸に植えられている桜,連なって咲いているのが遠くですがハッキリとピンクの帯に見えました。
<滋賀県突入>
2番目のトンネルを通過し,大津に入ると瀬田川の唐橋の周辺の桜の木が可憐に花を咲かせていました。草津を過ぎたあたりから,琵琶湖の向こう側の比良山系の峰々には雪がまだ残っていて青空に白く映えていました。琵琶湖に注ぐ愛知(えち)川を渡った先の一級河川宇曽(うそ)川両岸では隣を走る近江鉄道の鉄橋と岸の桜が趣のある風景を一瞬ですが見せてくれました。
彦根城を過ぎ,佐和山城跡には桜が結構植えられているようですが,まだ十分開花していませんでした。米原付近の桜はまだつぼみが赤くなってきた程度でした。遠くに見える福井方面の山はまだまだしっかり雪に覆われているように感じました。伊吹山の山肌の残雪はまだら模様で,鳥の頭の形をした雪形もはっきり見えました。
<中部地方突入>
寒いのでまだ桜は蕾と思い期待していなかった関ヶ原の桜は意外にも5分咲き以上でした。大垣市郊外に入ると工場の周辺の桜が満開でした。以降東京まで桜は満開ばかりでした。揖斐川の河川敷の菜の花が綺麗でした。
名古屋までの長良川,木曽川では桜はまったく見えません。名古屋駅を出発してようやく中電研究所周辺の満開の桜並木を近くに見つけることができました。三河安城駅の前後にある用水路には桜と菜の花が植えられていて,両方とも精一杯咲いていて,まさに春を実感する光景でした。
Panasonic電工幸田工場周辺の桜が立派でした。その先蒲郡付近から豊橋付近に掛けての山にはたくさん山桜が花を咲かせていました。豊川用水(支流)の岸辺には菜の花が緑の草に映えていました。豊橋を過ぎた幸公園の桜も見事でした。日東電工の工場の桜も見ごたえがありました。
<東海地方突入>
浜名湖周辺や浜松駅付近は残念ながら桜はほとんど見えませんでしたが,天竜川鉄橋の手前のローム(ROHM)浜松の工場の桜は目立っていました。天竜川鉄橋を越えると磐田用水という用水路がたくさんある地域では,用水路の岸に桜,菜の花が所々に植えられ,花を咲かせていました。今後も整備を進め,新幹線の車窓を楽しませてくれることを期待したいですね。NTN磐田製作所の桜も目立っていました。
いよいよ静岡の茶畑がたくさん見える地域に差し掛かりましたが,期待した茶畑の緑と満開の桜のコントラストが美しい風景は見られませんでした。桜の木を近くで並べて植えるのは茶畑にとって良くないのかも知れませんね。ただ,里(茶畑農家)には桜が結構あったように見えました。大井川鉄橋を渡ると科研製薬の工場,静岡駅手前の清掃工場には桜や菜の花が綺麗でした。
清水市からのトンネルを抜け富士市に入ると王子特殊紙,新富士駅を過ぎた後,JATCO,鈴与物流センター,UCCの工場の桜が楽しめました。三島駅の先の山麓には山桜の群落がありました。新丹那トンネルを抜け新熱海駅付近では山桜,民家や別荘の桜が綺麗に咲いていました。
<関東地方突入>
またいくつかのトンネルを抜けて小田原に近付くとみかんのような実がたくさん熟しているのか見えました。遅い品種なのでしょうか。小田原市内に入ると桜の木が多く,少し遠くの山麓にもたくさん桜の木があるように見えました。
並走する厚木小田原道路のも桜がたくさん植えられていました。東京に近付くにつれ,学校,公共施設(役所,公民館,ホールなど),お寺,神社の周辺に植えられた桜が目立つようになりました。
こうして,10時半頃品川駅に到着したのですが,この2時間半,私は万葉集に出てくる次の詠み人知らずの短歌の気持ちだったのでしょう。
見わたせば春日の野辺に霞立ち咲きにほへるは桜花かも(10-1872)
<みわたせば かすがののへに かすみたち さきにほへるは さくらばなかも>
<<見渡すと春日の野辺に霞が立ったように咲誇っているのは桜の花なのでしょうか>>
そして,日本人が本当に桜好きで,遠い昔から多くの場所に桜を植え楽しんでいるのだということを私は改めて強く感じたのです。
次回は投稿200回特集の第2弾として「万葉の友,高岡の集い」をお送りします。
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