<濃密な1泊2日>
昨日は,毎年恒例になった奈良明日香村の農園でのミカン狩りに行ってきました。
一昨日の土曜日は埼玉の自宅からいつものように早朝自家用車で出発し,圏央道,中央道,東名道,名神道の関ヶ原ICで一般道に入り,木之本から琵琶湖の最北端を回って近江舞子の施設にいる母を訪ねました。90歳近い母ですが元気な様子で一安心しました。
そこから奈良県大和郡山市のホテルまで,一般道を使って移動し,夕方ホテルに到着しました。いつもは,JR奈良駅前のホテルに一泊するのですが,残念ながら満室で予約が取れず,大和郡山の同系列ホテルとなった次第です。
場所が駅前で無く,周りが比較的閑散としていることを除けば,ホテル内部の設備(天然温泉有り)やサービスはほとんど同じでくつろげました。
翌日は穏やかな天気に恵まれ,明日香村は晩秋の風情に包まれていました。本当に良いところです。
今年は天候不良や木の場所の関係もあり,あまりミカンの出来はイマイチでしが,それでも20キロくらい入る大きな段ボール箱2箱以上の収穫がありました。また,現地での抽選会では最高賞の飛鳥米5キロ(2,500円相当)が当たりました(昨年は同2キロ当選でした)。
<本シリーズひとまず最終回>
さて,今回で心が動いた詞(ことば)シリーズはひとまず終わりとなります。
最後が「憎し」ではなく,もう少し良い言葉にしないの?と感じられる方もいるかもしれませんが,万葉集で「憎し」は反語的な用法として,正反対の意味を相手に伝えるときに使われています。
もっとも有名なのが大海人皇子(後の天武天皇)が,当時天智天皇の妻であった額田王に詠んだ次の短歌でしょうか。
紫のにほへる妹を憎くあらば人妻故に我れ恋ひめやも(1-21)
<むらさきのにほへるいもをにくくあらば ひとづまゆゑにわれこひめやも>
<<紫がお似合いのあなたを憎いと思っていたら,人妻であるにも関わらず恋しく思うことがあるのでしょうか。憎くない(大好き)なのですよ>>
次は,「憎くあらなくに」という反語的表現を使った詠み人知らずの短歌を紹介します。
若草の新手枕をまきそめて夜をや隔てむ憎くあらなくに(11-2542)
<わかくさのにひたまくらを まきそめてよをやへだてむ にくくあらなくに>
<<新妻の手枕をし始めてから一夜も隔てず共寝を止められようか。憎くはない(可愛くてしょうがない)のだから>>
万葉集には,このほか「憎くあらなくに」を詠んだ短歌が同じ巻11に4首出てきます。
その中で,「憎し」が二つも使われている詠み人知らずの女性が詠んだと思われる短歌を紹介します。
争へば神も憎ますよしゑやしよそふる君が憎くあらなくに(11-2659)
<あらそへばかみもにくます よしゑやしよそふるきみが にくくあらなくに>
<<人と争うと神がお嫌いになるということだが,それも良しとするか。僕と関係あることが知れている君は憎くないのだから>>
ここで紹介した3首とも「憎くない」という言葉を使い,相手に対する恋慕や好意の強さを強調する手法だと私は感じます。「憎くあらなくに」という言葉が当時流行っていた言い回しだったのかもしれませんね。
さて,今回で心が動いた詞(ことば)シリーズは一先ず終わりにします。次回から数回投稿300回記念スペシャルを投稿して,新しいシリーズをお届けします。
投稿300回記念特集(1)に続く。
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