状態を表す言葉に,「どんどん」「さくさく」「ざくざく」「てくてく」「はらはら」「くるりくるり」など,2音節か3音節の言葉が繰り返される単語があります。
これらは,状態を名詞の繰り返し,音,光,動きなどをイメージにして,表現しているものが多いようです。
実は,万葉集にも同様の単語がたくさん出できます。
あさなさな(あさなあさなの略で毎朝),いつもいつも(常に),うつらうつら(はっきり),うべなうべな(もっともなことであることよ),うらうら(日差しがやわらかでのどか),かつがつ(やっと),かもかも(ともかくも),きらきら(美しいさま),くれくれ(心細く頼りないさま),けふけふ(毎日),ことこと(同じこと),ことごと(すべて),ころごろ(日頃),さゐさゐ(動揺し騒ぐさま),さらさら(今更,新たに),しくしく(しきりに),しばしば(幾度も),たかたか(待ち望むさま),たづたづ(おぼつかないさま),たわたわ(たわわ),つぎつぎ(後から続くさま),つばらつばら(満遍なし),つらつら(滑らかなさま),なかなか(いっそのこと),ぬるぬる(ほどけるさま),はろはろ(遥か),びしびし(鼻水をすすりあげるさま),ほとほと(今少しで),ますます(前より一層),もろもろ(多くのもの),やくやく(次第,ようやく,除除),ゆくゆく(進むさま),ゆくらゆくら(心が動揺するさま)
私は,これらの繰り返し言葉が,本来の大和言葉として日本人の間で使われてきたのか,1世紀頃には日本に伝来したかもしれないという漢語の影響で使われるようになったのか,気になります。
今の中国語には,済済,黙黙,続続,段段,団団,除除,粛粛などの意味を持つ同様の繰り返し語(同じ漢字の繰り返し)があるようです。
ただ,英語でも「徐々に」を"bit by bit"や"little by little",「ますます」を"more and more",「日日」が"day by day"というように,似たような繰り返し表現があります。
本来の大和言葉として,このような繰り返し表現が元からあったとしても不思議ではないかも知れませんね。
さて,万葉集の和歌をたくさん御存知の方は「まにまに」が気になるかもしれません。「まにまに」は,万葉集の40首近くの和歌に出てきます。しかし,これは音節の繰り返しではなく,漢字交じりで書くと「随に」なるようです。「まにまに」については少し書きたいことがあります。それは次の投稿で。次のは「ほとほと」したら出るでしょう。
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