今回は,万葉集に出てくる舟または船で終わる言葉をあげると次のようになります(類似用語は割愛しています)。
赤のそほ舟,足柄小舟,伊豆手の船,岩船,大船,大御船,小舟,潮舟,棚無し小舟,千舟(船)月の船,筑紫船,釣舟,ま熊野の船,松浦舟,御船,百石の船,百舟(船),四つの船,夜船,など
割とたくさん見つかりましたので,少し分類してみましょう。
<<船の色,大きさ,数を表すもの>>
赤のそほ舟(赤く塗った舟),岩船(岩のように頑丈な船),大船,小舟,棚無し小舟(船縁が一重しかない小舟),千舟,百舟,百石(ももさか)の船
<<用途や比喩を表すもの>>
大御船(天皇や皇后が乗る船),潮舟(潮路を渡る舟),月の船(大海を漕ぎゆく船を大空を移動する月にたとえた語),釣船,御船,四つの船(遣唐使一行が分乗した4艇の船),夜船(夜行の船)
<<製造地域を表すもの>>
足柄小舟,伊豆手の船,筑紫船,ま熊野の船,松浦舟
これをみると,船は万葉時代に交通手段として,われわれが想像する以上に凄いスピードで発達・進化していたと考えてもよいでしょうね。
各地に停泊のために港が次々作られ,太平洋側,日本海側,九州,東北に至るまで,日本のまわりには,さまざまな定期航路があったのかもしれません。
定期船には,百石の船が示すように,百石船と呼べるような大きな船がすでにあったのでしょう。各地を結ぶ物流網が拡大していった時代に見えます。
また,足柄(神奈川県),伊豆(静岡県),筑紫(福岡県),熊野(和歌山県),松浦(佐賀県)など,造船地が出てくることで,用途ごとに優れた船の地域ブランドもすでに認知されていたことを示してますね。
万葉集に出てくる船に関する言葉を分類すると万葉時代の物流や人の移動に関する活気が伝わってくるようです。
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