2013年12月22日日曜日

投稿300回記念スペシャル(4:まとめ)‥四国特集(土佐)

投稿300回記念スペシャル(四国シリーズ)の最後を飾るのは,土佐(高知県)です。
私は,今まで行ったことがない都道府県は沖縄県と高知県です。行こうと思えば,いつでも行けるのですが,別に全国すべての都道府県を一度以上行くことを目標にしてわけでもなく,会社や研究会の出張,妻の旅先リクエスト,友人の誘いなどに積極的に応じてきた結果,たまたま沖縄と高知に行く機会がなかっただけなのです。五体が満足に動く間にはきっと行く機会があるかなと考えています。
さて,万葉集土佐を詠んだ和歌はすべて巻6に出てきます。土佐は当時流刑地だったようで,石上乙麻呂(いそのかみのおとまろ)が,密通により土佐に流罪になったときのことを詠んだものです。
乙麻呂はエリート官僚であったようですが,公卿の藤原宇合(ふじわらのうまかい)の未亡人であった久米若賣(くめのわかうり)という女性と宇合永眠の服喪中に密通をしたことで天皇の怒りをかい,未亡人は下総に,乙麻呂は土佐に流罪となったとのことです。
次の2首は,そんな乙麻呂の気持ちを詠んだとされています。

父君に我れは愛子ぞ 母刀自に我れは愛子ぞ 参ゐ上る八十氏人の 手向けする畏の坂に 幣奉り我れはぞ追へる 遠き土佐道を(6-1022)
ちちぎみにわれはまなごぞ ははとじにわれはまなごぞ まゐのぼるやそうぢひとの たむけするかしこのさかに ぬさまつりわれはぞおへる とほきとさぢを
<<父に私は可愛がられた子であり,母に私は愛おしい子として育てられてきた。京へ参上する多くの人々が旅の無事祈るためにお供え物をする畏の坂で,私は幣を奉納して遠い土佐道を下って行くのだ>>

大崎の神の小浜は狭けども百舟人も過ぐと言はなくに(6-1023)
おほさきのかみのをばまは せばけどもももふなびとも すぐといはなくに
<<大崎の神が入らつしやるという浜は狹いけれど,そこを通る多くの舟人はその神に参ることなく通り過ぎることはない(私はそこに参ることすらできない)>>

余りにも弱気な内容なので,乙麻呂自身が詠んだのではなく,別人が本人のツライ気持ちを想像して詠んだのだろうと私は想像します。
または,密通するとこんな目にあうぞという教訓めいた創作(フィクション)歌だったかもしれません。その理由として,三つほど前に,本当は題詞に載せるような内容の長歌があります。

石上布留の命は 手弱女の惑ひによりて 馬じもの縄取り付け 獣じもの弓矢囲みて 大君の命畏み 天離る鄙辺に罷る 古衣真土の山ゆ 帰り来ぬかも(6-1019)
いそのかみふるのみことは たわやめのまどひによりて うまじものなはとりつけ ししじものゆみやかくみて おほきみのみことかしこみ あまざかるひなへにまかる ふるころもまつちのやまゆ かへりこぬかも
<<石上の布留にお住いで,お年寄りの上級官人のお方は,若い女性に心が惑い,馬のように繩を掛けられ,鹿のように弓矢で逃げないように警護されて,天皇の命令を受け,遠方に流される。連れて行かれる真土山の同じ道から帰ってこられればよいのだが>>

相手が未亡人で,寂しくしている様子から,心が惑ってしまい,許されない行為をしてしまうリスクがあることは男として分からなくもないですね。社会の規律を守らせる立場の高級官僚となれば,そういった誘惑を排除する強い自制心が必要だということでしょうか。

天の川 「あのな~,たびとはん? 『土佐の国』特集になってへんのとちゃうか? 高知県の人がえろ~怒るかもしれへんで。」

おっと,久々登場の天の川君が言うように,ちょっと興味のある方向に偏ってしまったようですね。
私は,港区の浜松町,豊島区の東池袋にあるお店(まったく別のお店)では鰹の美味しい土佐づくりを出してくれるので,ときどき行きます。
特に浜松町のお店は,稲わらを燃やして鰹の切り身の外側を焼きますので,稲わらの香ばしい匂いがしてまた格別です。私は魚介類の刺身は何でも好きですが,あっさりした鰹のたたきを生姜,ニンニク,浅葱,もみじおろしをたっぷり載せて,ポン酢で頂くのも大好物のひとつです。
五体満足なうちと言わず,できるだけ早い機会に高知県に行って,桂浜はりまや橋高知城ひろめ市場,足を延ばして,四万十川仁淀川足摺岬室戸岬龍河洞などに観光したいと考えています。
これで,投稿300回記念の四国シリーズを終わりにします。四国4県はそれぞれ特徴があり,周りの海は外海,内海,入江,渦潮が巻くような早戸など変化に富んでいます。また,温暖な気候で多種多様な農作物が豊富にとれます。
万葉時代には,知られている場所もほんの一部だけだったかもしれませんが,海洋技術の進歩で未開の土地(奈良盆地の京から見て)の開拓が進んでいったフロンティアだっと想像します。
さて,早いもので,今年ももう年末に近づきました。次回からは年末年始スペシャルをお送りします。
2013-14年年末年始スペシャル(1)に続く。

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