2012年7月6日金曜日
対語シリーズ「逢うと別れ」‥「天の川」それは出逢いと別れの象徴?
私ごとで大変恐縮ですが,ボーナスが予想よりほんの少し多く出たので,思い切って七夕を機に壱岐の麦焼酎「天の川」プレミアム(写真)を買いました。
何と通常の焼酎ボトルの半分の量(360ml)で2,100円もします。
庶民の私にとっては,急流の天の川に飛び込むような勇気を振り絞って買った次第です。
ただ,申し訳ありませんが,味はまだ飲んでいないので分かりません。呑ん兵衛の天の川君に見つからないように隠しておいて,明日の七夕の夜に飲むことにしています。その味は次回に報告します。
さて,今回のテーマは「逢うと別れ」です。まさに明日の七夕では牽牛と織姫が年に一回逢い,そして翌日には別れ,翌年の七夕まで逢えないのです。
次は,天平2(730)年の七夕の頃,大伴旅人邸の宴席で山上憶良が詠んだとされる短歌です。
玉かぎるほのかに見えて別れなばもとなや恋ひむ逢ふ時までは(8-1526)
<たまかぎるほのかにみえて わかれなばもとなやこひむ あふときまでは>
<<ちらっとお逢いしただけで別れれば無性に恋しく思うでしょう。再び逢える時までは>>
1年に一度ほんの少しだけしか逢えず,すぐ別れてしまうからこそ,恋の想いがさらに募るのでしょうね。
次も七夕の「逢うと別れ」を詠んだ詠み人知らずの短歌です。
月日えり逢ひてしあれば別れまく惜しくある君は明日さへもがも(10-2066)
<つきひえりあひてしあれば わかれまくをしくあるきみは あすさへもがも>
<<月日はいっぱいあるけれど,今日一日と定めて逢ふのですから,別れることが捨てがたいあのお方は明日までもいて下さればよいのですが>>
織女の今夜逢ひなば常のごと明日を隔てて年は長けむ(10-2080)
<たなばたのこよひあひなば つねのごとあすをへだてて としはながけむ>
<<織姫は七夕の今夜彦星に逢えたなら,またいつものように明日から二人は離れ離れとなって一年の長い時を過ごしていくのか>>
明日には別れる定めであっても,もう一日でも長く逢っていたいのが,愛し合う二人の気持ちに違いありません。
牽牛と織姫は一年でたった一日だけでも逢える可能性があります。
ただ,遣新羅使のように船が難破して,命を落とし,二度と最愛の人に逢えない可能性があると次の短歌となります。
天平8(736)年の七夕,新羅に向かう遣新羅使が福岡で詠んだ短歌です。
年にありて一夜妹に逢ふ彦星も我れにまさりて思ふらめやも(15-3657)
<としにありてひとよいもにあふ ひこほしもわれにまさりて おもふらめやも>
<<一年中で一夜だけ織姫に逢う彦星でも私以上に妻のことを想うはずがない>>
万葉時代,このようにして,さまざまな人達が七夕を通して,お互いの恋しい気持ちを確認し合っていたのかもしれません。
対語シリーズ「押すと引く」に続く。
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