「染む」には影響するとか感化するといった意味もあります。
この場合の読みは「そむ」だけでなく「しむ」と読む場合があります。英語の同義語ではinfectが近いかもしれません。
1986年(昭和61年)にテレサ・テン(鄧麗君)が唄って大ヒットした「時の流れに身をまかせ」の歌詞(作詞:三木たかし)の中に
♪時の流れに身をまかせ あなたの色に染められ
というフレーズがあります。この「色に染められ」に私は日本語の奥深さを感じます。
「染められ」のイメージは穏やかな感じですが,よく考えると実は「大好きなあなたの虜(とりこ)になって」というくらいの強い感じさえ与えます。
さらに,「色」を「心」の反対語として「からだ」の意味にするともっときわどい意味を感じさせてしまいそうですね。
万葉集にも虜になるという意味で「染む」が使われている有名な短歌があります。
なかなかに人とあらずは酒壷になりにてしかも酒に染みなむ(3-343)
<なかなかに ひととあらずは さかつぼに なりにてしかも さけにしみなむ>
<<いっそのこと人間ではなく酒壷なってしまいたい。そうすればいつも酒と一緒に居られるから>>
これは大伴旅人の酒を讃(ほ)める歌13首のなかの1首です。
酒が好きで酒の虜になっていた旅人の気持ちを思い切った表現で書いています。
当時,公の場での飲酒を禁ずる令が何度も出されていたそうです。
でも,好きな酒とはいつも一緒にいたい旅人は,大宰府の長官という立場を超えて「いっそ酒壷になりたい」という大胆な表現を使い詠んでいることに私は愛着を感じてしまいます。
私自身,さほど多く飲みませんが,酒(アルコール飲料)は嫌いな方ではありません。
以前は割とビール派でした。でも最近は出された料理やそのときの季節や飲み仲間に応じて何でも嗜むようになりました。
日本酒,ビール系,ワイン,ウィスキー,焼酎,老酒,白酒(バイチュウ),カクテルなどです。
天の川 「たびとは~ん。壱岐にある天の川酒造の麦焼酎『天の川』が飲みたいなあ~。今度壱岐に連れってくれへんか?」
天の川君,交通費が大変だよ。また,道中,しゃべってばかりで君はやかましいからね。今インターネットで注文したよ。次回は君ではなく焼酎「天の川」を飲んだ感想でも書きますか。
染む(3;まとめ)に続く。
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