今回は,万葉集に出てくる橘について書いてみます。
天の川「あれ?『立つ』の話とちゃうのかいな? たびとはん,本当はもうネタ切れやろ。」
久しぶりに出てきたね,天の川君。ネタ切れなんかしてないよ。橘は「立ち花」と読めないかね。
天の川「そんなん無理なコジツケとちゃう?」
天の川の突っ込みは,放っておいて先に進めましょう。
昨年10月5日にこのブログで紹介した大伴家持が越中で詠んだ橘の長歌の一部を紹介します。
この長歌全体の意味は昨年10月5日のブログを参照ください。
~ 田道間守 常世に渡り 八桙持ち 参ゐ出来し時 時じくの かくの木の実を 畏くも 残したまへれ 国も狭に 生ひ立ち栄え 春されば 孫枝萌いつつ (中略) 冬に至れば 霜置けども その葉も枯れず 常磐なす いやさかはえに ~(18-4111)
<~たぢまもり とこよにわたり やほこもち まゐでこしとき ときじくの かくのこのみを かしこくも のこしたまへれ くにもせに おひたちさかえ はるされば ひこえもいつつ (中略) ふゆにいたれば しもおけども そのはもかれず ときはなす いやさかはえに ~>
<<~田道間守(たぢまもり)という人が,常世の国に渡り,いつも芳しい香りがする木の実(橘)を持ち帰られ,日本の国狭しと生え栄えている。春には新芽が萌え(中略)冬になっても,葉は枯れず緑のままで盛んに繁っている~>>
田道間守が,橘の実を日本に持ち帰って植えたところ,国狭しと茂り栄えて,その美しさといつも新鮮な姿や香りで,四季折々に私たちを楽しませ,勇気づけてくれている家持は礼賛しています。
「生立ち栄える」とはまさに「繁栄する」という言葉の原義に同じだと私は感じます。
<大学同窓会参加記>
さて,昨日私は母校の大学で開催されたある同窓会に参加しました。参加者は企業や団体において,一線で活躍している人達が集まる同窓会でした。
私のようにかなり前に卒業したOBだけでなく,最近卒業したOB・OGもたくさん来ていて,大学の講堂満杯の総勢4~5千人が集まりました。
同窓会では卒業生のさまざまな活躍事例が紹介され,社会への貢献と今後卒業していく学生へもみんなで力を合わせて支援していこうということになりました。
1975年に僅か数百名の卒業生を最初に出して以来,35年後の今,多くの企業,団体でトップや幹部職になっている人達が次々と増えている実感が湧きました。
まさに,家持の長歌の如く,次々と「生立ち栄える」という言葉が当てはまる勢いの同窓会でした。
さらに,講堂での同窓会前後に各方面で活躍している同窓生とも再会もでき,楽しい時間を過ごせました。同窓生の昨今の経済状況の悪さに負けず真面目な職場への取り組みに励まされ,私も頑張っていこうという気持を新たにしたのです。
写真は,小春日和の中,紅葉が美しいキャンパスを久しぶりにゆっくり散策でき,撮ったものの一枚です。
立つ(4)に続く。
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