「別れを惜しむ」「急逝を惜しむ」「才能を惜しむ」「自分の命を惜しめ(大切にしろ)」「行く春を惜しむ」などとして使われることがまだあります。
万葉集では,25首ほど「惜(を)しむ」を使った和歌が出てきます。
<我が家の愛猫ランちゃん死す>
ところで,1週間余り前に我が家の愛猫「ランちゃん」が死にました。
ありし日のランちゃんです。
私の自己紹介に使っている写真の猫は「あう」です。「あう」と「ランちゃん」については,昨年7月18日のブログで少し紹介しています。
「ランちゃん」は15歳1カ月で天寿を全うしました。人間でいえば90歳を軽く超えている年齢でしょうか。
15年ほど前にスーパーのペットショップで「可愛い子猫だ」と妻と息子が選んで買ってきたヒマラヤンのメス猫です。
今年の猛暑が始まってしばらくして,急に食欲がなくなり,体力が急激に衰えてきました。
死ぬ2週間前あたりからは,トイレ以外はほとんど動けず,流動食や水を少し口にするのがやっとの状態でした。
ついに死ぬ数時間前(夜中)から,呼吸が不規則な状態になり,妻が「ランちゃん」に添い寝して身体をなでている中,眠るように息を引き取りました。
約15年間ずっと家族同様暮らしてきた猫ですから,もう少し長生きしてほしかったと「惜しむ」気持ちが続きました。
<ランちゃんの葬儀>
死後すぐに段ボール箱で簡易な柩を作り,その中に「ランちゃん」をタオルで丁寧にくるんで入れました。
何かあったときのために地方の鮮魚市場で鮮魚を買うと付いてくる保冷剤をいくつも冷凍庫に凍らせていたので,それを周りに並べ,傷まないようにしました。
柩を愛用のペットフードや水,遺影とともに仏壇の前に置き,保冷剤を取り替えながら,ロウソクと線香を絶やさず焚き続けました。
そして,翌々日の朝まで「ランちゃん」との別れを惜しみ,柩にシミキと菊の花,愛用のシートを敷き詰め,火葬場付きのペット霊園へ運びました。
ペット霊園はちょうどお盆の真最中で,多くの人が来ていて賑やかでした。
戻った我が家では「あう」と新参猫の「ぴん」が,何事もなかったように家中で運動会をしていました。
そんな中万葉集に次の詠み人知らずの短歌を見つけました。
薦枕相枕きし子もあらばこそ夜の更くらくも我が惜しみせめ(7-1414)
<こもまくら あひまきしこも あらばこそ よのふくらくも わがをしみせめ>
<<薦(こも)で作った質素な枕を共にして寝たあの子がこの世にいたならば,この夜の更けることを惜しみもするのだけれども>>
まさにそのときの妻の心境でしょうか。合掌。惜しむ(2)に続く。
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