2009年9月15日火曜日

万葉集で難読漢字を紐解く(せ~,そ~)

引き続き,「せ」「そ」で始まる難読漢字を万葉集に出てくることばで拾ってみました(地名は除きます)

堰く、塞く(せく)…相愛の二人を合わせないようにすること。塞き止める。
背向(そがひ)…背中合わせ、後方。
退方(そきへ,そくへ)…遠く離れた方。
背面(そとも)…南に対して北側のこと。
赭、朱(そほ)…赤色の土。その土の色。
杣(そま)…植林して材木をとる山。

あすか川堰くと知りせばあまた夜も率寝て来ましを堰くと知りせば(14-3545)
あすかがは せくとしりせば あまたよも ゐねてこましを せくとしりせば
<<明日香川の流れ(二人の仲)が堰き止められる(引き裂かれる)こと知っていたなら幾夜でも共寝をしに来たものを。そうなることを知っていればなあ>>

この短歌は,明日香川という奈良の地名を読んでいますが東歌です。
おそらく,この和歌の二人は,明日香川が堰き止められることはあり得ないほど恋慕は強く,永遠の愛を誓っていた。にもかかわらず,思いの強さとは裏腹に周囲や環境は二人が結ばれることを許さず,別離を迎えることになったのでしょう。
そんなことならもっともっと共寝をして抱き締めたかったのに。本当に心残りだな。そんな感情がストレートに伝わってきますね。
でも,そんな二人の思いを邪魔する(堰を作る)人がいて,結局結ばれることが叶わぬ恋となったとしても,二人の愛は永遠に続くような期待を持たせる和歌と僕は感じます。

今の世の中でも,結果的に結ばれなくても,そんな思いを心の支えして前向きに生きている人もたくさんいるような気がします。
そんな人たちは,例えば「ささやかなこの人生」(伊勢正三作詞作曲)の「♪そして巡る季節よ その愛を拾って終りの無い物語を作れ~♪」のフレーズをこよなく愛して聞いているのかも知れません。

天の川「たびとはん。気持ちよく書いてるけど,何かええことでもあったんか? ちょっとブログの趣旨と違う世界に入ってまへんか?」

天の川君,たまにはロマンチックな気分に浸らせてくれたまえ。(「た」で始まる難読漢字に続く)

0 件のコメント:

コメントを投稿