扱く(こく)…しごく。しごいて掻き落とす。
凝し(こごし)…ごつごつしている。険しい。
幾許(こぎた,ここだ,ここば)…こんなに多く。こんなに甚だしく。
悸く(こころつごく)…心がおどる。動悸がする。
甑(こしき)…米や芋などを蒸すのに用いる器
去年(こぞ)…昨年
木末(こぬれ)…木木の若い枝先
蟋蟀(こほろぎ)…コオロギ
肥人(こまひと)…九州球磨地方の人
木群(こむら)…木が群がり茂った所
薦(こも)…マコモ
臥やす(こやす)…横になる、休むの尊敬語
嘖らる(こらる)…怒られる。叱られる。
樵る(こる)…木を伐る。きこる。伐採する。
さて,次は山上憶良が詠んだ有名な長歌・貧窮問答歌で甑(こしき)が出てくる部分です。
~竈には火気吹き立てず 甑には蜘蛛の巣かきて 飯炊くことも忘れて~(5-892)
<~かまどにはほきふきたてず こしきにはくものすかきて いひかしくこともわすれ~>
<<~竈には火をいれることもなく,甑には蜘蛛の巣が張って,ご飯を炊くことも忘れ~>>
憶良はこの和歌で「甑は使われず蜘蛛の巣が張っている」などの表現を使い,暖かいご飯を炊いて食べることがずっとできず,飢えをしのいでいる一家の苦しい状況を具体的に示しています。
さらに,この長歌の最後の部分では戸籍を管理している里長が,このような暮らしを余儀なくされている家族にも「短いものをさらに切り刻むように」容赦なく税の取り立てを行うことが詠われています。
当時の大和政権は,日本が諸外国(中国,朝鮮半島など)に負けない強い国にするため,中央集権体制である中国の律令制度を急速に導入しようとしました。明治維新と似ている部分もあるのかもしれません。
その体制を維持するために人頭税賦課を徴収し,その財を基に多くの官僚や軍隊を抱え,政(まつりごと)や国防に専念できるようにしたのです。
しかし,律令制度が完成し,庶民の生活を豊かにするには時間を要します。その間,多くの人には先に税が負担となります。
また一見公平のように見える人頭税賦課は,子どもをたくさん産み,その労働力に頼っている農民にとっては非常に重い税制であったのです。
それまで比較的豊かだった里長たちのような一部特権階級は,自分の豊かさや立場を維持するために,一般庶民への税負担を重くした可能性もあります。
<政治・経済学的な視点>
一つの新しい制度を導入することにより,その効果が表れるまでは貧富の差が拡大することは,資本主義経済を急速に取り入れてきた今の中国を見ても分かります。
ただ,私は貧富の差が必ずしも悪いとは思いません。なぜなら,より豊かになりたい,成功者になりたいという気持ちが人々の活力(創意・工夫)に結びつき,活力の結果として経済や技術が発展することは良いことだと私は思うからです。
これは良い意味の競争であり,競争に勝った人がその他の人より多くの富を得ることはプロ競技の世界が典型例です。当然一般のビジネスの世界でも実態は競争がベースとなっているのではないでしょうか。
逆に,悪平等により,何の努力もせず一定の生活が保障される社会が活力ある良い社会だとは私は決して思いません。
<セーフティネットも必要>
しかし,そういった競争にすら参加できないで生活に苦しんでいる人々が存在するのも事実です。その人たちの多くは怠けものではないのです。身体的な障害や持病がある,諸般の事情で教育を受けたくても受けられなかった,悪意をもった人間に騙され借金を背負ってしまった,間違ったアドバイスを信じ自分の進路や人生設計を見誤ったような人たちなどです。
このような人たちが現実に居ることを認識し,その人たちにも競争に参加できるチャンスを与えることが政治には必要だと私は思います。衆議院選挙が近づく昨今,私は適正で活性化した競争社会を維持しつつも,それに参加できない人が居たら,励まし,その人なりのチャンスを与え,そのような人たちの希望と活力をも支える庶民感覚を十分もった政党を支持したいと思うのです。 (「さ」で始まる難読漢字に続く)
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