2010年3月20日土曜日

動きの詞(ことば)シリーズ…伝ふ(3:まとめ) 万葉仮名は何かの暗号か?

<デジタルデータとは>
さて,インターネットを中心として情報を伝え合うシステムが急速に広まっている現代,万葉時代の万葉仮名に当たるものはあるのでしょうか。
私は,デジタルデータがそれに当たるのではないかと考えています。
デジタルデータの意味を一言で表すと,たとえば「0と1だけの2進数のように2値で表現できるデータ」といえます。
今電子メールなどでやり取りする文字データ,デジカメのデータや写メールでやり取りする画像データ,デジタルビデオカメラのデータやYuoTubeなどで閲覧できる動画・音声データ,地デジテレビの受信データなどなど,これらのデータはすべていわゆる0と1だけからなるデジタルデータなのです。
<0と1だけで様々なデータをとのように識別するのか>
では,0と1だけでどうやって数値,文字,画像,動画,音声を表現しているのかの考え方をひらがなを例に少し説明してみます。
ひらがなの「きた」は「北」「来た」「着た」「喜多」「喜田」など異なる意味をあらわす可能性があり,「きた」だけではどの意味か判別は困難です。
でも,幼児がひらがなだけで書いた文で「きた」が出てきたとしても,前後の文字や全体の位置をみればそれが上記のどの意味か判断ができることも多いはずです。
たとえば,「きたかぜ」「はるがきた」「ふくをきた」「きた まゆみ」などを見れば意味がかなり判別できそうです。
それは,情報を送る側(ひらがなを書く側)と受ける側(読む側)で共通に認識された文体や形式があるから判別できるのです。日本語が堪能でない人はその共通認識がないため,残念ながら理解はより困難になってしまいます。
<デジタルデータの少し専門的な話>
デジタルデータもひらがなの例と同じように考えると何となくイメージできるかもしれません。
ある取り決め(国際規格)に従えば,たとえば'01000001'というパターンは,65という数値を表わすこともあれば,アルファベットのAという文字を表すこともあります(画像や音声の一部であることもあります)。
ひらがな「きた」と同じで,見た目だけではどれを指しているかわかりません。
実際には,伝える側の装置(パソコン,携帯電話など)のキーボードで人がAのキーを押すと,'01000001'というデータがその装置の送信用下書きデータに追加されるのです。
全体の文章の入力が終わると各入力文字に対応する0と1の組み合わせ(たとえば,半角文字は2進数8桁,全角文字は同16桁)が入力順序に並んだデータが出来上がります。
このとき,このデータが画像,動画,音声ではなく文字データであるという種別(これもある種の取り決めによる0と1の何桁かにデジタルデータ)を前に付けます。
そして,送信を押すとインターネット上をこうして0と1だけでできたデジタルデータが相手に届きます。
受け取る側の機械(パソコンや携帯電話など)では,送られてきたデータが文字データであることを0と1の組み合わせから判別し,文字に対応した8桁または16桁の0と1の組み合わせデータから対応する文字を判別し画面に表示します。
文字データとして,上の例の'01000001'が来ると受け側のパソコンや携帯電話は画面にAを表示します。
<デジタルデータの暗号化技術>
しかし,この対応付け(標準)の取り決めが全部または一部分からなくなってしまうと0と1だけのデジタルデータは何を表わしているか理解できなくなる状況が発生します。
実は,インターネット取引に使われているデータの暗号化技術は,この対応関係が分からなくなるように0と1の並びを変えてしまうことなのです。
当然元のデータに戻せないと意味がないですから,戻すための鍵(これも100桁以上の0と1の組み合わデータ)として関係者以外は見せないようにしているのです。
<万葉仮名は暗号ではなさそう>
こうみてくると,万葉集の万葉仮名も当時の漢字と読み(音)の対応が存在しないため,何かの暗号ではないか,何らかの鍵(方式)で解読すると全く別意味になると思いたくなるのも無理はありません。でも,暗号化技術は伝え合う双方の間で完全な合意(万葉仮名だったら読みの完全な合意)形成があってから進化するものだと私は考えます。
当時の万葉仮名はそこまで進化していたでしょうか。私は万葉仮名を何か全く別の意味を示す暗号であるかもしれないと考えることに今は興味を持っていません。
<将来に何をデータとして残すか?>
さて,これからIT社会がさらに進化していくと,あらゆる情報・データはすべて0と1のデジタルデータで残されるようになるでしょう。また,近い将来ほとんどのデジタルデータは,ある種の暗号化がされて残されるようになると私は予測しています。
USBメモリの中には暗号化して保存する機能を持った製品が今普通に販売されています。

私たちは後世に伝え残していく必要のあるメッセージがあるはずです。それは過去に起こした過ちを繰り返さないでほしいという願いがこもったものだと私は思いたいのですが。
千年後の人々に対し,今の人が何を伝えようとしていたかを正しく理解してもらえるように伝える方法をしっかり考えていかなければならないと私は思うのです。
デジタルデータと文字や画像との対応付け方式はすでに多くの規格が存在しています。
文字だけでも世界中で使われている言語との対応付けを考えると非常に複雑なものに既になっています。
遠い未来の人たちが私たちのデジタルデータでできたメッセージの意味を正しく理解できるようにしておくことは結構難しいことを万葉仮名は教えてくれているように感じます。
このブログも消されずに残ってほしいと私は願っています。

さて,天の川君。今回の私の話は正しく伝わって理解できたよね?

天の川 「01001110 01101111 00101110」
       N     o     .
「伝ふ」終り。「偲ふ」(1)に続く。

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