2009年6月21日日曜日

永遠の友との再会

昨日,大学時代に万葉集を嗜んでいた当時のクラブメイトとひさしぶりに再会をしました。
今回の再会をアレンジした私は,会場を東京都八王子市南浅川町の山中にある地鶏の炭火焼を中心メニューとした料亭にしました。
この時期,この料亭は「ほたる狩り」と称するイベントを夜に開催しています。
昨日は土曜日ということもあり,子どもたちも含め,たくさん人たちが(中には観光バスを連ねて)来ていました。
この演出は,夜のある時刻から全館,全離れ屋,全庭園の照明を完全に消し,放たれたたくさんのホタルが光を放ちながら飛んだり,枝にとまって光る姿を庭園内または部屋から鑑賞するという演出です。「あっ!こっちでも光っている」「あっ!あんなにたくさん飛んでるよ」「こっちに向かって飛んでくるぞ!」「捕まえた!手の中でほら!光っているよ」「幻想的!」などの声があちこちで聞こえていました。
私は,これまで何度もこの演出が行われる時期にここに来ているのですが,再会したメンバーは全員この演出を見るのは初めてということでした。
その他私が準備した語らいの演出もふくめて,参加者全員にとって大きな喜びと思い出の一コマを形作れたという手ごたえを感じました。
また,以前から変わることのない参加者たちの人間的な優しさに,それぞれの人生経験の蓄積による深みと幅をより加えてきていることを強く感じました。私自身の人間の幅を広げる意味でも,いつまでもこの人たちと交流していきたいし,1年以上前からこの再会の準備をしてきた努力が本当に報われた気がしました。

ところで,ホタルといえば,万葉集にはホタルが出てくる和歌が1首(13-3344)しかありません。それも,「ほのか」にかかる枕詞「蛍なす」として出てくるのみです。
ホタルが「ほのか」な光を放つことを万葉人は知っていたのかも知れませんが,平安時代からの源氏物語新古今集古今集などでホタルに対する思い入れに比べて,扱いが極端に少ないことがちょっと気になりますね。
もしかしたら,奈良時代やそれ以前は,ホタルをそれほど気する存在ではなかったとも考えられます。
平安時代になって以降,貴族たちが鑑賞用や子供に与える生き物として風流を楽しむために養殖し流行らせた可能性は大です。
それにしても,昨日の料亭のホタルは,予想以上に明るく綺麗な光を放ち,元気いっぱい飛ぶ姿を私たちに見せ,私たちの再会を祝ってくれたようです。

蛍火の数多舞ひけり 奥高尾万葉友との 語らひ綺羅し   たびと(=私)作
ほたるひのあまたまひけり おくたかをまんえふともとの かたらひきらし

(注)「万葉友」には「よろず世の友」すなわち「永遠の友」の意味も持たせたつもりです。

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